その中でも個人的に注目していたのが東芝製のW41Tだ。
最大の特徴は日本国内で初のハードディスクを搭載した携帯電話であるということだ。世界的に見るとサムスン、ノキアに続く3番目なのだが、0.85インチのハードディスクを製造している同社としては、アピールのためにも何としても搭載したかったと思う。
もうひとつは5504T、W21T以降ずっと搭載してきたBluetoothがついにステレオオーディオ対応にまで進化した。これについては既に販売されているNTTドコモのP902iを意識してのことだろう。Bluetoothについても東芝はBluetooth SIGに早期から加わり、出資もしているので当然の流れであると言える。
しかし、仕様をよくよくチェックすると煮え切らないのだ。
まず、何故に今頃ハードディスクなのか。サムスンやノキアが製品を発表した時期までは理解できる。しかしフラッシュがこれだけ低価格になりつつある昨今に、わざわざ4GB程度の容量でハードディスクを選択した理由がピンと来ない。
先に書いたとおり、0.85インチハードディスクのマーケティングだけと言うことしか思い浮かばないのだ。10GBだったら別なのだが。ましてや携帯電話。色々な対策が施されているとはいえ機械的な精密構造物である。自分だったらクラッシュの心配が常につきまとう。ICカードに対応させなかったのも、接触時の衝撃などを考慮しての結果だろう。
内蔵されたHDDはUSBストレージとしても使用できるが、容量は512MBに制限されている。保存されている音楽データの著作権保護が理由らしいが、こうした制限によりハードディスクのメリットも激減してしまうに違いない。
つぎにBluetooth。ステレオオーディオに対応したと聞くと真っ先に思うのがA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)への対応だ。ところが搭載されているプロファイルはA2DPではなく独自のものだという。東芝はBluetooth SIGでより良いBluetooth接続環境を考える立場にいるはずなのに、接続機器を制限する独自プロファイルとは何事か(怒)いろいろと制限の厳しいNTTドコモの端末P902iでもBluetooth標準のA2DPを採用しているというのに。
実は東芝がこういうことをするのは初めてではない。過去に国内で販売されたPCで同様の独自プロファイルを採用している。ちなみに同種のPCで海外版は汎用のA2DPを採用している。なお、他のプロファイルはBIP/OPP/DUN/HFP/SPP/AVRCPとごく標準的な仕様であることからも音楽の著作権を意識したものと推測する。標準化の技術までを腐らせる著作権に意味はないし、東芝にはそういう点も踏まえてもっと別の対策を取って欲しかった。
最初は期待していたが、仕様を見てがっかりしたのは言うまでもない。あぁ、残念。
AUからHDD搭載携帯発表!
KDDIから発表された「MUSIC-HDD」こと「W41T」は、携帯電話としては…
W41TのBluetoothワイヤレスオーディオに関してですが、
「A2DPではない独自のプロトコル」ではなく、正確には「A2DPを独自拡張したもの」です。
通常のA2DP対応機器では、mpeg-1 Audioやmpeg 2/4 AACなどのCodecが使われていますが
W41TはHE-AAC Codecでエンコードされたデータを伝送するように拡張した仕様になっているため、
P902iと異なりサードパーティのヘッドセットを使用することができません。
参考
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/keyword/27461.html
http://plus.ric.co.jp/wireless/bt001_03_0404.html
独自拡張によって、音楽に敏感なユーザーを取り込むチャンスを失っているのは、本当に残念だと思います。
コメントありがとうございます。
確かにA2DPベースですね。知っていました。
(もうちょっとわかりやすくエントリに記載すれば良かったですね)
でも、独自で拡張してしまっている時点で共通プロファイルであるA2DPではなくなってしまっていますので、A2DPではないと書きました(メーカーの関係者もA2DPであってA2DPでないとコメントしていました…)。
A2DP機器とペアリングしてみると分かりますが、ペアリングは実際に出来るのですが、コメントに書かれているようにエンコーダの違いにより、音声は伝送されません。
本当に残念な結果です。