スピーカーチューン

スピーカーチューン左の写真は「AppleDesign Powered Speakers」。

1993年発売の外付けオーディオスピーカーだ。当時はCD-ROMドライブからの音楽信号を再生するのに使用していた。

なんで今さらこのスピーカーが登場したかというと、訳あってこれをもう一度現役機としてチューニングを施して使うことになったからだ。

現在は透明で丸いアクリル製の可愛いスピーカー「Apple Pro Speakers」が机に乗っているが、今は使われていない。それは接続されるべきPowerMac G4が無いからだ。このスピーカーは接続端子が2.5mm4極のフレームグランド付きという特殊なもので、一般のステレオミニプラグではない。PowerMac G4など一部のMacで使われていた専用端子だ。

汎用品で入手するならば、一部の携帯電話用イヤフォンマイクに使われているので、そのジャック側を購入すれば良い。でも、入手は大変だけど思うけど…。

個人的にはこの「Apple Pro Speakers」は大きさ・音質共に好みで、イージーリスニングに適していたのだが、その接続端子の形状の問題から現在のメインマシンであるPowerBook G4やiPodにはそのまま接続できない。

変換プラグを作るってのもあるけど、ちょっと面倒なので後回し。なので机上で音楽を聴くためのスピーカーが欲しかったのだが、大きなスピーカーは邪魔なのと、それでながら音質面でそこそこ満足できるものが見つけられずにいた。

今回取り上げる「AppleDesign Powered Speakers」は入力端子がステレオミニジャックと、RCAピンプラグの2系統を装備している。これは片方がMac本体、もう片方をCD-ROMドライブのオーディオ出力に接続するためのものだ。入力端子が一般的な規格なので、色々な機器に接続が可能なのだ。

このスピーカーを数年ぶりに鳴らしてみると、何とまぁショボい音質である。こんなんで販売価格が1万円以上したのか〜と思うほどだ(泣)

まず手を付けるには構造を知ることだ。中身はシンプルなバフレス型で8cmのフルレンジユニット1発で駆動する仕組み。エンクロージャ(ケース)はABS製でそれなりの造り。片方のユニットにはステレオパワーアンプと、入力2系統のミキシング回路が搭載されていて、パワーアンプからの出力をケーブルで反対スピーカーへ接続することでステレオ再生が実現する。

今回のチューニングポイントはエンクロージャの防振処理と、経年劣化でヘタったスピーカーユニットの交換、そして内蔵パワーアンプの回路強化だ。

基本的な項目だけど、一番効き目があるのだな。

最初はパワーアンプから。

流石に10年以上経過している製品なので、紙フェノール基板のディスクリート実装部品が時代を感じさせる。今ならば3分の1くらいの大きさで作れそう(笑)使われているパーツも当然それなりの年代物なので、チェックをするとやはりというか電解コンデンサの類は液漏れしていたりする。

それならばということで、まずは全ての電解コンデンサを交換することにした。特に電源とオーディオ回路にはちょっと高級なヤツを使ってみることにした。知人の部品屋に頼んで必要なものを一式購入した。合計1,200円程度。コンデンサのブランドはエルナー。なぜかというと、それでしか型番がそろわなかったから。本当にはニチコンが良かったのだが仕方がない。

で、基板上にある電解コンデンサを片っ端から交換していく。オーディオ用の良いコンデンサとかはサイズが大きい物も結構ある。それでも気にせずにガンガン突っ込んでいけるのはディスクリート部品の良いところ(笑)一部のコンデンサは基板から少しはみ出したが、ほぼ問題なく交換完了。しかし、コンデンサ交換後も見た目はそんなに変わらないのが悲しいところ(苦笑)

あとは、背面のハンダ部をチェック。こういうタイプのボードは、ハンダ槽というハンダが溶けた池みたいなところを通して、差し込まれた部品のハンダ付けを一気に行うので、裏面はフラックスでベトベト。まずはこれを洗浄してハンダごてでレタッチした。これはハンダクラックがあった場合にとても有効。

パワーアンプICや電源部などの重要部分は古いハンダを吸い取って、新しいハンダで付けなおした。もちろん無洗浄タイプで環境にも優しい(笑)白く曇っていたハンダ面はぜんぶツヤツヤのピカピカになった。

アンプの次はエンクロージャ。内部に厚さ1mmの板鉛を貼り付けることで、防振効果とスピーカーの磁気シールド効果を期待する。特に薄い部分には板鉛を数枚重ねて貼った。特にこのスピーカーは片方にパワーアンプが内蔵されている関係上、重量差があるので、この板鉛で重量バランスも調整した。

スピーカーは中国製の安っぽいヤツが組み付けられていて、コーン紙もなんだかヘロヘロ。これはすぐにゴミ箱行きにして、新しくフォステクスのFE87Eを組みこんだ。口径は8cmなのでピッタリ。

最後に組み立てるときには、鉛版でカチカチになってしまった内部での反射音を弱めるために、フェルトなどの吸音材を入れておくのもポイント。あとは聞きながら吸音材を増減して調整する。最終的に組み上げると片方1kg前後だった重さは2kgにまでアップ。かなり重い部類のスピーカーに変わった。

まだエージングが完了していないので結論は早いが、最初に比べると随分と音がカッチリしただけでなく、深みのあるものになった。コンデンサのお陰か音量を上げてもエネルギー感が減らないようだ。これならば十分に使えるレベルと言える。ちなみにケーブル類も良いヤツに交換済み。これだからオーディオって面白い。

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スピーカーチューン への13件のフィードバック

  1. eyePower のコメント:

    ぶしつけなお願いですいません。Apple Powered Speakers M6082を修理しようと、情報を探していて、貴ShimoKen-Worksにたどり着き、そのものずばりのWorkに触れ、チカラをいただいた感じです。
    自分の当機の症状は「しばらく使用していると音がボソボソと低下したり戻ったり」。素人分析ではコンデンサーかPowereトランジスタの劣化と思われ、貴兄が交換されたコンデンサのリストをいただければ、修理に挑戦できるのではと期待が高まるのでした。あつかましいお願いですが、よろしくお願いします。

  2. ShimoKen のコメント:

    コメントありがとうございます。
    お書きの症状からして、コンデンサの疑いが強いですね。パワートランジスタはそうそうダメになりませんから。
    さて、コンデンサの交換についてですが、リスト化はしていないので、分かりません…。自分の場合は、コンデンサ側面に記載してあるコンデンサ容量と電圧をメモに取り、秋葉原の電気街で購入しただけです。コンデンサはできるだけオーディオ用のものを選択してください。
    あとは、ハンダ部もパワートランジスタの熱などで劣化していると思いますので、ハンダのレタッチも忘れずに。
    あとはエントリにある内容でチューニングすればかなり「聴ける」スピーカーになると思います。最小音量での「とぎれ」や、最大音量の「パワー感」も増すと思いますよ。ぜひ頑張ってください。

  3. eyePower のコメント:

    頑張りました!(^^♪
    コンデンサのチェックと、リスト。秋葉原に2回通って、使用されているコンデンサをすべて入手。総とっかえ!抜群の性能復活です。あとは、スピーカーそのものの交換と、筐体の音響性能を上げるための鉛版や吸音材の装着ですね。これは時間を見てやろうと思っています。
    まずは、御礼まで。

  4. ShimoKen のコメント:

    お疲れ様です。良かったですね!
    恐らくは小さな音のビビリ音も消えて、スムーズなボリューム可変が可能になっただけでなく、音質(特にエネルギー感)も改善されたと思います。
    他は私がやった手法でさらにオリジナルよりも良くなるはずですよ。もうひと息です。残りのパーツ(SP、吸音材、板鉛)は秋葉原のラジオ会館4Fにあるスピーカー専門店の「木村無線」で全て入手できます。
    ではでは、検討を祈ります。

    木村無線
    http://www.kimuramusen.co.jp/

  5. purasen のコメント:

    はじめまして
    突然ですいません よろしければ教えて頂きたいのですが

    当方、最近手頃な外付けスピーカーを探していたところ
    リサイクルショップにてApple Powered Speakers (M6082)を見つけ、購入しました。

    しかし、「本体のみ」です
    ケーブルはなんとかなると思うのですが、電源アダプタの規格がよくわかりません

    流用できる物を探していて、電圧は15Vだと思うのですが
    電流がわかりません

    現在もこのスピーカーをお使いでしたら教えて下さりますよう
    お願い致します

  6. ShimoKen のコメント:

    現物を確認するのに手間取っています。
    近日中に回答しますので、もうしばらくお待ち下さい。

  7. ShimoKen のコメント:

    お待たせしました。
    確認できました。
    DC15V/1Aでした。

  8. purasen のコメント:

    ありがとうございます!
    お手数おかけ致しまして申し訳ありません

    とりあえずアダプタを探してみて、鳴るようでしたら
    上記に習って改造もしてみたいと思います

    電気オンチですが (^_^;

  9. ShimoKen のコメント:

    DCプラグ形状は異なりますが、東芝のノートPC用に15V規格の物があります(かなりのオーバースペックですが…)。
    DCプラグが見つけられなければ、スピーカー側を別の物(EIAJ規格品)に換装してしまうというのもアリですね。うろ覚えですが、基板側は一般的な取り付け(ハンダ付け)だったと思いますから、換装はそんなに難しくないと思います。

  10. purasen のコメント:

    なるほど DCプラグを接続するところが、ちょっと変わった形ですね

    そこを EIAJ 極性統一プラグ
    というのが接続できるものに交換する ということですかね?
    そっちのほうがスマートな気もしたんですが…

    とりあえずアダプタを入手したので(やっぱり東芝のノートPC用みたいです)
    試してみようかと思ってます

  11. ShimoKen のコメント:

    どうせいじってしまうのならば、SP側は規格品を使うことをお勧めします。
    ACアダプタ側は一切触る必要ないですし。

  12. purasen のコメント:

    ども
    その後、近場の部品屋で探したのですが
    残念ながらアダプタに合う物が見つからず、
    プラグ・ジャック共に交換する事に…

    慣れないはんだ付けを繰り返し、やっと音が出ました!
    回路の方に異常がなくて幸いです

    今まで音声は内蔵スピーカのみだったので、とりあえずは純正で満足してますが
    エンクロージャの防振対策、スピーカーの交換等もやってみたいと思います。

    お世話になりました!

    またなにかわからない事があったらお聞きするかもしれませんので、
    教えて頂けると幸いです

    では

  13. ShimoKen のコメント:

    お疲れ様でした。
    無事に音が出てなによりです。

    最近では少ない2系統入力機能(しかもミキシング)付きですから、
    PCとオーディオの同時接続でも楽しめます。

    チューニングはやっただけ効果がでますから楽しいですよ。
    ではでは。

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